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あなたにもできる!詳しいバイオ炭の焼き方

私たちが作る農地散布用の炭は、炭焼きの場所さえ確保できれば、一般的な燃料炭と比較して、おおむね誰にでも簡単に作ることができます。燃料炭を作るときは完全に空気(酸素)を遮断する必要がありますが、農地散布用の炭を作るときはそこまで空気(酸素)を遮断する必要はありません。

法律では野外で単純にものを燃やす行為は原則違法となります。一方で炭焼き行為は法律で認められています。ただし、炭焼き行為も大きな火が発生したり、周囲に燃え広がる危険性もあります。絶対に火事にならないよう細心の注意が必要です。また煙が発生したり、竹を燃やすときに破裂音が発生することもあるので、それらが周囲の迷惑にならないよう十分注意しましょう。

①まずは炭焼き場を確保します

   

炭焼き場の条件

・周りに林や燃えやすいものがない開けた場所(田畑の真ん中など)であること

​   竹を燃やすと爆竹のように破裂することがありますが、そのときの衝撃で燃えた竹片が30m離れた所まで飛ぶこともあります。

・消火用の水源が確保できていること

   水道や井戸ポンプの水をホースでかけられる、または車両にタンクを載せて持ってこられる

・近くに民家がない

   竹を燃やすときの破裂音が周囲の迷惑ならないように

・大量の竹や剪定枝などを長期間おいておけるスペースがあること

・軽トラなどが入ってこられる場所であること

②炭の原料を確保します

何を原料にすべきか、それは地域にたくさんありすぎて困っているものです。

例えばもみ殻や外来水草などが考えられますが、私たちの場合は切り出した竹や剪定枝を主な原料にしています。剪定枝の太さは直径10cmくらいまでなら大丈夫です。

③原料を乾かします

竹の場合、青い竹は燃えずに生焼けになってしまい炭になりません。茶色くなるまで最低でも3か月は野ざらし積みにして乾かしておきましょう。向きを揃えて整然と積んでおくと隙間がなくて乾きにくいので、あえて向きをバラバラにして乱雑に積んでおく(見た目は悪いです)か、パレットの上に置くなどして乾きやすくしておきたいです。

ちなみに竹林で立ち枯れて茶色くなっている竹はよく燃えますが、朽ちかけていたり腐りかけている竹ほど炭素があまり残っていないので、炭が少ししか残りません。

                                                                                                 

                                         

                            

剪定枝も最低でも1か月は野ざらしにして乾かしましょう。剪定枝は折った断面をみれば乾燥しているか、生の状態かの判断がつくと思います。

竹林の中ではそうでもないのですが、畑や原っぱなどで3か月も野積みをしておくと、まあ草やら蔓やらたくさん生えてきてすぐにおおわれてしまいます。適時草の管理をするか、草が伸びにくい晩秋から春先にかけて干すとよいでしょう。

④炭化器を用意します

​開放式炭化器は『モキ製作所』や『日本クルベジ協会』で市販されています。それぞれのHPで焼き方も詳しく説明してあります。
ただし、私たちのように農業用に大量に焼きたいときは市販のものの大きさだと話にならないので、自作した大きな炭化器を使っています。

以下自作の大型の炭化器の作り方です。市販の炭化器と同じすり鉢状の形を作り出すことがポイントです。

【一斗缶を加工して手作りする炭化器】
一斗缶は食品油が入っていたものを飲食店や学校給食などからもらえることがあります。
とりあえず一斗缶を解体。
缶切りで天板と底をくりぬくこともできますが、一斗缶切り用のVカッターという商品を使うと仕事が早いです。ディスクグラインダーでふちに切れ目をいれて、そこから金属はさみで切って広げれば解体完了。解体して
できた薄い鉄板を何枚も使って炭化器を作ります。



炭焼き場に直径3mくらい(軽トラの荷台につめるくらいの竹の長さに合わせる)のすり鉢状の穴を掘ります。ユンボがあればいいですが、スコップでもがんばれば掘れます。


単純にこの穴の中で炭焼きしてもいいのですが、できた炭を回収するさいに土と混ざってしまうことがあります。そこで一斗缶から作った鉄板の出番です。電動ドリルで穴をあけた鉄板を穴の側面と底にはりつけ、農業用Uピンで固定します。穴の全面に鉄板を貼り付ければ完成です。


 

【ドラム缶を加工して手作りする炭化器】

ドラム缶を加工する作業は非常に危険です。自己責任のもと行ってください。
もともと入っていた可燃性の物質に切断で生じる火花が引火して爆発し、最悪の場合死亡事故になることがあります。
ドラム缶を加工する前に、ドラム缶の中にあった物質を完全に取り出し、さらにドラム缶の中を水で満たしてあふれさせてください。水をぬいてからも念のため、中のものが完全に揮発するまでしばらく放置した方がいいと思います。

また切断したあとの鉄板は鋭利なバリがついていて大変危険です。服の上からでも肌が切れてしまうくらい鋭利です。十分気を付けてください。バリとり磁石でバリをとることもできます。

プラズマ切断機があればもっと速いですが、なければディスクグラインダーで切断します。
まず天板と底を切断します。

筒状になったところで縦に切断します。(ここまで少なくとも切断磁石2枚くらいは使い切ります)

 


縦に切れたらそこをなんとかこじ開けます。このこじ開ける作業がとても危険です。反り返ってきた鉄板で身体を切らないよう気を付けてください。多分温度が高いときにやったほうが、鉄が多少柔らかくなっていてやりやすいかと思われます。

 

 

 

 

 

 

 


ある程度開いたら内側が下になるように地面に置いて上から踏みつけます。

 

 

 

 

 

 


これでかなり平らな鉄板になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

角のところは尖ってて危ないので、ペンチなどで挟んでうちに折り込んで角を丸くしておいたほうが安心です。

 

 

 

 

 

 


この鉄板を6枚作ります。

 

できた鉄板にインパクトドライバーか電動ドリルで連結用の穴をあけます。穴の大きさはM8サイズのボルトが通るくらいの大きさでいいので、それに合わせた鉄工ドリルを用意しましょう。穴をあけるさいはグリーススプレーや556でもいいのでドリルの先に油をさしながら、あまり圧を加えず、少しずつ少しずつ穴をあけるようにしましょう。じゃないとドリルの先がすぐにダメになってしまします。

 

 

穴が開いた鉄板が6枚できたら炭焼き場にもっていきます。

炭焼き場では直径3mくらいのすり鉢状の穴を掘ります(直径が大きすぎるとドラム缶の鉄板6枚では足らなくなるので注意)。

穴ができたら穴のふちに鉄板6枚をM8くらいのサイズのボルトで連結させます。そのとき、すり鉢状になるようにわざと鉄板同士の角度を少しずらします。ずらさないと円錐状になってしまいします。ずらせばすり鉢状になります。

さらに、前述の一斗缶を用いた炭化器を作るときと同様、穴の側面と底に一斗缶から作った鉄板などを貼り付けて、穴の全面を覆えば完成です。

 

⑤消防署に届け出をします

消防署にいくと「火災と紛らわしい行為の届け出」という書式がもらえるのでそれに必要事項を記入して事前に届け出ておくことを推奨します。市町村によってはオンラインでも届け出ができます。

⑥消火用の水を用意します

炭焼き終了時の消火用の水を用意しておく必要があります。ドラム缶から作った鉄板6枚で作った炭化器を炭でいっぱいにした場合、消火には最低でも3トンくらいの水が必要になります。また炭焼きの最中にも炭化器の周りの枯草に火が燃え広がったり、燃えた破片が周囲に飛び散って燃え広がることがあるので、これらに水をかけて消火できるようにしておきます。大容量のローリータンクとバケツやエンジンポンプなどがあるといいでしょう。

⑦風速を確認します

風が強いと火事になるリスクがあります。天気予報で確認し、風速が5mを超えるようなら延期しましょう。


⑦原料を燃やします

炭化器の真ん中で火をおこします。

良く乾いた割れ竹などを三角錐っぽい形に組み、中心に新聞紙や段ボールなどを置いて着火します。火に勢いがついてきたらよく乾いた材料を投入。火の勢いがさらに強くなってきたら多少湿った原料も投入して大丈夫です。

​ポイントはガンガン原料を投入してガンガン燃やすことです。けっこう大変な作業なので人手があったほうがいいです。火の近くにくると熱いので、少し遠くから原料を投げ入れたほうがいいと思います。

予定していた原料をすべて投入し終わったら、火が落ちて熾火(おきび)になるまでしばらく待ちます。

⑧消化します

熾火になったら、あらかじめ用意していた水をかけて消火します。ちょろちょろ水をかけるより、一気に大量の水をかける方がいい炭がとれるそうです。一度火が消えたと思っても、中の方が熱を持っていると再燃することがあるので、十二分の量の水をかけ、消火後も数時間おきに再燃していないか見に来た方がいいと思います。または炭化器の横に浅い穴を掘り、そこへブルーシートをしいて水を注げばちょっとしたプールができるので、そのプールの水に熾(おき)をくぐらせて消火する方法をとると確実です。

なお炭化器に蓋をしたり、土をかけてたりして、消火する方法もありますが全くおすすめしません。この方法だと1か月後に炭を取り出したとしても、再燃することがあり危険だと思います。

⑨炭を袋詰め・計量します

袋に炭をつめます。袋の容量がわかれば、袋の数で、できあがった炭の総量が計算できます。もしくは20Lのペール缶バケツに炭をいれたりして容量を図ると確実です。私たちの場合は耐紫外線性(UVクリア)のガラ袋に袋詰めしています。

 

 

​炭1袋が60Lだった場合、乾物重量はおよそ20kgとなります。

炭の重量に係数1.8をかけると固定したCO2の重さになります。

【できた炭の重量】×【1.8】=【削減したCO2の重量】

ちなみに60Lのバイオ炭ができたとしたら、CO2の削減量は36kgです。
せっかく炭を作ったのなら、どのくらいのCO2削減になったのかを割り出しましょう!

ちなみにできた炭を農家が農地に一定量まくと、農水省の環境保全型農業直接支払制度の対象になり、農家は​補助金を受け取ることができます。

​以上「詳しいバイオ炭の焼き方」でした!


 

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×青竹は燃えない​

                                      〇乾いた竹は良く燃えて炭もよく残る

                                      △朽ちた竹は燃えるが炭が少ししか残らない

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